『いわき時空散走フェスティバル24春』小川郷ツアー
『いわき時空散走フェスティバル24春』折返しの3日目は、小川郷ツアー!
【日時】2024年5月4日(土)13時~16時30分
【集合・解散】小川郷駅
【サポーター】櫛田啓子(くしだ・けいこ)
小川郷を一緒に巡ってくれたサポーターは、櫛田啓子さん!そして、サブサポーターの草野正道さんです!
また、今回は小川郷駅近くで『草野商店』を営む草野允宏さんも自分の自転車で参加してくれて、小川郷育ちの同級生3人が、小川郷の歴史と共に、行く先々での思い出話を話してくれました。サポーターと参加者の皆さんの会話が止まらない、そんな大盛り上がりなツアーでした!
今回新しく巡ったスポットや新情報を中心にツアーの内容をレポートしていきますので、気になった方は『いわき時空散走フェスティバル23』小川郷ツアーのレポートも合わせてお読み下さい。
”群青色”の小川郷駅舎
今回も、小川郷駅に集合しツアーが始まるのですが、以前から進められていた駅舎の建替え工事が完了し、新しい姿になっていました・・・!
建替え前の小川郷駅舎は、100年を超える木造駅舎で、待合スペースには、たくさんの本が置いてあったり、ホームまでの連絡通路には草野心平の詩や、地元の小学生たちが描いた絵が飾ってあったりなど、町の人からとても愛された駅舎でした。
「取り壊さないでほしい。」という地元の方たちの声が多く、何度も話し合いが行われたそうですが、老朽化ということもありやむなく工事が進められました。
そして、今回新しくなった小川郷駅舎も、地元の方たちの思いが詰まっているようです。平成5年に発足し、今日まで30年以上、ボランティアで駅の維持管理や地域活性に取り組んでいる『小川郷(さと)の会』の草野允宏さん、草野正道さんに、お話をお聞きしました!
允宏さん:「駅の横にあるこの桜は、平成22年に小川諏訪神社の子孫をここに植えて、ここは1日中360度日が当たるのであっという間に大きくなりました。JRさんにこれは残してくれとお願いして残してもらいました。」
正道さん:「新しい駅舎の壁の色は、これは”群青色”なんです。小川郷の会としては、せめて心平さんを感じられるものを残してほしいという思いがあり、『群青の天に』これは心平さんが好んだフレーズです。それで群青色にしてくれました。あとは、心平さんが小川郷駅の情景を詠んだ詩もここ(待合室の中)に展示されています。」
允宏さん「他にも、木造駅舎をイメージして、この部分は木目調のデザインにしてくれて、以前使われていた『小川郷駅』の木の看板も駅舎内に残してもらいました。」
正道さん:「最初は、色々と却下されていたんですけど、会長さん(允宏さん)が最後まで粘り強く交渉してくれて、少しでもこうやって心平さんと歴史の繋がりが残せて良かったと思っています。」
また、地下道にあった昔の小川郷駅舎の写真などは、今は支所で保管されているようです。参加者の中には、「地下道にあった絵、僕も書きました!」という地元の方も!色んな人の思い出話を聞くことができました!
100年以上ここで佇んできた木造駅舎から姿かたちは変わってしまいましたが、小川郷に対する地元の方々の熱い思いは今も変わっていません。これからも、その地元愛をみんなで繋げていきたいですね。
みんな話が止まらない!
そしてやっと自転車に乗って駅から出発!最初のスポットは、小玉小学校の隣にある『小玉米穀店』の前。ここでは、『ライス・キング』と呼ばれた国府田敬三郎さんの話をしました!
他にも、「小川郷駅からは、空中ケーブルが見えたんだ。」とか、「小玉ダムの方には、福島炭鉱があってトロッコも走ってた。」など、色んな話が飛び交い、参加者の方々みんな話が止まらず盛り上がっている様子でした!
「みなさんちょっとそろそろ行きますよ~!話止まんないから!(笑)」という寺澤さんの声掛けで、やっと次のスポットに向かいます!最初のスポットから、参加者の皆さんがこんなに喋ってくれるなんていわき時空散走ツアーとしては、この時点ですでに大成功です。
その後、磐城霊山萬霊廟と、その萬霊廟を建てた田久彌七さんの子孫である田久家にもご挨拶に伺いました!ちょうどご家族が集まって田植え終わりの宴会中!
少しお話もしていただき、田久彌七さんについてなどお話をお聞きしました。ご家族で集まっているところ、お邪魔しました・・・!ありがとうございました!
国府田敬三郎さん、磐城霊山萬霊廟、田久彌七さんについては、前回レポートをご覧ください!
我らの生活を支える小川江筋
次に向かったのは、『大堰神社』です!大堰神社は、小川江筋の取水堰に祀られています。この日はとても暑かったのですが、大きな木が日陰となり、気持ちよく涼むことができました~
ちなみに、『じゃんがら念仏踊り』の由来は諸説あるそうで、小川郷では澤村勘兵衛の死の弔うために、じゃんがら念仏踊りが始まったんじゃないかとも言われています。
松本さん(時空散走サポーター):「四倉の方になると、祐天上人説があったりましますからね。そしてこの江筋は、草野や平の方まで水を引っ張っていて、赤井にある愛谷江筋にも繋がっているんです。」
寺澤さん:「そうそう。時空散走していると、改めて地域は繋がっていることに気づかされるんですよね~」
允宏さん:「あと私が聞いた話は、本当か分かんないけど、“斜堰”があるのは本州でここだけだって。斜堰があるおかげで、雨が降んなくて水が少ない時でもこっちに水行くようになってんだ。」
江筋や斜堰について意外と知らない人も多いのでは?!水があるなんて日常生活の中で当たり前になっていて、今この時期、田んぼに水が張れていること、その米を食べれていること、すべて勘兵衛さんに感謝しかありませんね・・・
地元の参加者:「そういえば昔、この夏井川で筏下りもやりましたよね。ここに来るとみんなで筏持ち上げて歩いた記憶があります。」
允宏さん:「35年前かな、(筏で)太平洋までいきましたよ。当時、青年会があったんだけど、交流とかがあんまりなくて。せっかくだから若いうちに同年代でなんかやろうぜって、1番手っ取り早かったのが冒険だったのよ。その時一緒に乗ってたのが、今の私の女房です。」
えー!若者の大冒険の話かと思ったら、まさかの奥さんとの素敵な出会いのお話でした!!ほっこりしたところで、次のスポットへ向かいます!
草野心平と白井遠平の関係とは?
小川中学校にある櫛田民蔵顕彰碑に寄った後、前回のツアーでは時間が間に合わず行けなかった『草野心平生家』へ行きました!
ここでは、『草野心平記念文学館』の施設管理をされていた草野正道さんに、お話をしていただきました!
正道さん:「心平さんは、ここで生まれて17歳まで暮らしていました。頭が良くて、磐城中学校(現:磐城高校)に進学したんですが、なかなかの問題児で。教科書を食べちゃったり、先生の言うことを聞かないので、東京の慶応義塾普通部に編入するんですけど、編入というと聞こえ良いですけど、退学に近い形でした。」
正道さん:「あと、心平さんは非常に家系が複雑なんです。草野家に男の子が絶えてしまう時があって、近くに住んでいた白井遠平という方の家に、草野家から女性がお手伝いに行ってたんですけど、その方との間に子供ができてしまった。当然、本妻がいますから、どうしようとなって、その時に、草野家に男の子がいないんだったら養子に出そうと。その養子に出された子が、心平さんのお父さんなんです。」
白井遠平さんも、小川郷の偉人の一人なのですが、当時の衆議院議員であり、磐城炭鉱の開発・経営や、常磐線・磐越東線を開通させた実業家でもあります。小川郷、偉人だらけです・・・
白井遠平さんと、草野心平さんは、一見他人に見えますが、実は祖父と孫で血縁関係だったんですね。
寺澤さん:「心平さんと会ったことある人はいますか?」
允宏さん:「川内村の天山文庫に下見いった時に見ました。話はできなかったけどね。」
正道さん:「天山文庫の話でいうと、なぜ心平さんが川内村に行ったのかというと、モリアオガエルを見たいと、新聞に投稿したらしいんですよ。そしたら、川内村の住職さんが”いますからどうぞいらしてください”と。心平さんは川内村の人達からとても歓待をうけたそうです。天山文庫も川内村の人達が作ってくれたんです。」
草野心平さんはいわきの有名な偉人ですが、まだまだ知らないことがたくさんありそうです。草野心平さんについて気になった方は、『草野心平生家』や、自転車ではちょっと難しいかもしれませんが『草野心平記念文学館』にもぜひ行ってみてください!
そして今日のツアーでたくさん登場した、小川の偉人たちが眠る、『常慶寺』に行きました!草野心平、白井遠平、櫛田民蔵、それぞれのお墓にお参りをしました。
その後、サポーターの櫛田啓子さんが運営する『芽吹きの原保育園』に行き、啓子さんからお話をお聞きしました!
啓子さんが目指している子育て、教育の形、今やろうとしていること、子供たちの未来のために本気で取り組んでいる人たちがいわきにいるということが、本当に誇らしいです。
詳しくは、前回ツアーのレポートをご覧ください!
そして、小川郷駅に帰ってきました~!コースは前回とさほど変わっていないのですが、参加メンバーが変わればまた新しい話がたくさん聞けて、楽しいツアーでした!
参加者からの感想の中には、
「自転車ならではの匂いや風、五感で楽しめる部分や、お話を聞きながら町の歴史などを知れることの魅力ももちろんですが、この場で人が集まって未来のための話ができたり、過去から未来に繋がる感じがとても素敵でした。」
「いわき市の大きな課題として、1つが交通、2つが健康、これは食の問題もありますが車社会というのが大きいと思います。そして、3つ目が若い世代の流出です。学びに出るのはいいと思うんですが、地域を何も知らずに出て行ってしまう。地域を学んでアイデンティティの中にちゃんとあるかどうかで変わってくると思います。これは、子供だけじゃなく実は大人も地域を知らない。それで、いわき時空散走ってこの3つの課題すべてを解決できる取り組みだと思いました。」
という嬉しいお言葉がたくさんありました!皆さん、ご参加いただきありがとうございました!いわき時空散走がどんどん広まって、いわきがもっと魅力的なまちになっていけばいいなと思います!
文章:井上栞里(NORERU?広報)
写真:寺澤亜彩加(事務局)、井上栞里(NORERU?広報)