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『いわき時空散走フェスティバル2025春』久之浜ツアー

▶ 久之浜ツアー『いわき時空散走フェスティバル2025春』

【日時】2025年6月15日(土)9時~12時

【集合・解散】久ノ浜駅

【サポーター】高木史織(たかぎ・しおり)

▶ツアーコース

(スタート)久ノ浜駅→ 菓匠梅月→ 浜風きらら→ 駄菓子あかもの屋→ 久之浜・大久ふれあい館→ 高木屋跡→ 諏訪神社→ 自在院→ 久之浜第一幼稚園跡→ クリナップトレーニングセンター→ SLOW DAYS cafe→ 久ノ浜駅(ゴール)

 

末続・久之浜マップに続き、今回新しく久之浜マップも完成しました!久ノ浜駅周辺から波立の方まで海岸沿いを走るコースになっています。サポーターを務めるのは、久之浜育ち、SLOW DAYS cafe店主の高木史織さんです。

 

東日本大震災で町並みや風景は大きく変わり、震災前の久之浜の姿や暮らしが、月日と共に風化しつつあります。今回のツアーでは、高木さんが震災前の久之浜の町を記憶を頼りに書きおこした手書きの地図を準備してくれました。その地図を見ながら、高木さんの思い出の地を巡ります。

久ノ浜駅からスタート。高木さんによると、駅舎内には小さな売店があったそうで、床を見ると、ちょうど売店があった位置だけ床の色が違いました。高木さんが子供の頃、『5/8チップ(はちぶんのごちっぷ)』が売られていてよく買っていたとのこと。参加者の方も、「5/8チップ懐かしい!黒い箱の!」と盛り上がっていました。通常より少し小さいそのサイズ感が人気だったそうです。

そして、お馴染みの『梅月』の柏餅を食べて、いざ出発!最初に向かった先は、『浜風きらら』です。平成23年(2011)9月、震災から約半年後に、久之浜第一小学校敷地内に仮設店舗としてオープンした『浜風商店街』を経て、平成29年(2017)4月に浜風きららがオープンしました。今でも、震災の交流センターのような施設が一部、小学校の敷地内に残っているそうです。キャンドルジュンやアジカンが来たという話も!

そのあと、少し雨が降ってきたので、久之浜の駄菓子屋さん『あかもの屋』に行き、駄菓子を食べながら雨宿りしました。懐かしい気持ちに浸りながらお喋りをしていると、すっかり雨が止んだので、また自転車に乗って走り出します。

次に到着したのは、『久之浜・大久ふれあい館』です。ここで高木さんの地図を見ると、ここには公民館と映画館があったことが分かります。映画館は、高木さんのお友達の家だったそうで、当時は映画館の営業はされていなかったですが、真っ暗な映画館の中でかくれんぼをしたのが思い出だそうです。

そして、そこから海側へ少し行くと、一面が白い霧に覆われていました。この状態のことを、地元の方々は「しけってる」と言うそうです。ここは、震災前まで高木さんの実家『高木屋旅館』があった場所で、このエリアは津波の被害が大きく、景色もだいぶ変わってしまったそうです。震災当時のリアルな状況や心境をお聞きしました。

 

また、高木屋旅館の横には、万祝(まいわい。漁師の晴れ着。)を作っていた『西山染工』があったり、駄菓子屋、米屋、酒屋、床屋、銭湯、無尽、何でもある、とても賑わっていた通りだったそうです。高木さんの地図と思い出話で、町がどんどん見えてくるのが面白かったです。

次に、諏訪神社、自在院へ。諏訪神社の社殿の中には、大きな天狗のお面のようなものが飾られていて、これが幻の久之浜張子かもしれません。現在は張子職人はいなくなってしまいましたが、久之浜張子のはじまりは江戸時代からだそうで、張子屋がたくさんあったとか。最後の制作者・草野源吉さんの大天狗の張子は航海安全の守り神として重宝され、全国からファンが買い求めたといいます。

その後、防災緑地内にある、『久之浜第一幼稚園跡』へ。高木さんも通っていたそうで、海が見える幼稚園だったそうです。防災緑地ができる前は、海が良く見えていたそうですが今は見えなくなり、山の方から土を持ってきたので生態系も変わり、震災以前には見なかった虫や鳥が生息するようになってしまったといいます。

その後、霧で真っ白な海を眺めながら、海沿いのサイクリングロードを走っていると、クリナップトレーニングセンターが見えます。クリナップ創業者の井上登は、広野町出身で、地元に貢献したいという思いで、昭和32年(1962)久之浜工場(現・クリナップトレーニングセンター)を開設しました。2012年には震災復興支援としていわきや福島の若者を支援するクリナップ財団が設置されたそうです。

最後に、SLOW DAYS cafeにて、みんなでランチをいただきました!今回は特別に、『特製ツナごはんプレート』をご用意いただきました。いわきの名物給食メニューのツナごはん。県外からの参加者も多く、「はじめて食べた!美味しい!」と皆さんから大好評でした。

リサーチでもご協力いただいた新妻秀正さんも合流し、みんなでお話をしながら、ツアーの感想も共有しました。今回は、初めての参加者がほとんどだったのですが、「みんなと走る自転車が楽しいし、歩くより楽!」「他のエリアも参加したい」という声が多く、自転車魅力、時空散走の魅力、どちらも味わってもらえたようでした。

 

文章:井上栞里(NORERU?広報)

写真:鈴木穣蔵

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